世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 結花はソファで肩をすくめてカメラの前で見てくださいよと背中を見せる。あざがある。主に背中やお腹周り。周平と義理息子の光河からの暴力だ。義理娘の葵依は大人しく言うこと聞いているだけ。彼女の本心は分からない。
 スタッフから「結花さんは働かないんですか?」の質問にこう答えた。
「えっ? 世界一かわいいゆいちゃんが何で働かないといけないんですか?」
「てか、あいつ給料安いからさーかれ、他でもっと働いてほしいのよねぇー。だって40万よ? やすくなーい? 世界一可愛いゆいちゃんのためなら、楽勝でしょ? ほんとお金ないの!」
「働く? あ、無理無理。ゆいちゃん働いたらいじめられちゃうもん。可愛いから。働かないのが結婚時の約束だしぃー」
 面食らったかのように答える結花。
 スタッフの顔が引きつる。いや、ドン引きしている。
 自己主張の激しい付け睫毛、派手な化粧、まるで水商売をやっているような見た目。
 お金がないのといいながら、服はピンクのカーディガンに黒のジャンパー風の上着と短いスカート。
 結花はカーディガンに合わせたミニバッグをさりげなくロゴが見えるかのように見せる。
「今の生活が嫌で元夫と娘に連絡してるんですけど、ぜーんぜん、返事がないんですぅ」
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