世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

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 ローカルスーパー「よだ」西南店は、昼間の買い物客で賑わっている。
 入り口にはクリスマス商戦と年末年始に向けて「ポイント2倍!!」
「会員カードで支払いしたら5%引き!」
 購買意欲を掻き立てるようなのぼりやポップがあちこちに設置されている。

 頭が痛い。店内でけたたましい音で流れている有線が余計拍車をかける。事務所兼休憩室まで聞こえる。
 いつもは気にしないのになんとなく気分が悪い。
 依田悠真は休憩用のソファーに横になりながら、スマホの通知を見ていく。
 今月のクレジットカードの請求が来た。
 ゼロの数いくつだろうかと思うと、食事する気力ない。
 開きたくないが、確認しないと払えない。
 しぶしぶ私用のスマホでアプリを開けると額に手を当てた。
 今月は三十万。ひえっと声に出したくなるが、スタッフがいる手前、そんな姿を見せたくない。
 それに今日は娘の三者面談に行ったが、娘の頑張りを否定するようなことを言われた。

 ――お母さんの真似して、試験で上位はいったのでは。

 そんなことないと返したが、バツの悪そうな顔をされた。むしろどう言う事だと強く問いただした。
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