運命の出逢い
どうしよう、どうしようとワタワタしていると、

「こっち」

八神くんに手を取られて連れてこられたのは、目立たない端っこ。

「あ、あの……」

「それ、貸して」

スッと髪に手が伸びてきたと思えば、ヘアピンを私の髪から外し、足元に転がっていた風船を手に取った八神くんはヘアピンを風船に刺した。

パァンと音が響いて、ヒラヒラと紙が床に落ちる。

それをおもむろに拾い上げた八神くんを私はただじっと見ていた。

……どういうこ?

彼の行動の真意が全く分からずポカーンという顔をしてしまう。


「好きな食べ物」

「え……?」

「だからお前の好きな食べ物だよ……っ」


私の言動にしびれをきらしたのか、八神くんは少し語尾を強めた。


「あ!あ…グラタン!」


「…あっそ」


聞いてきたわりには素っ気ない返事をされ、少し落ち込む。


ていうか……


「これは…一体……?」


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