ONCE【友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~ 番外編SS】
体が言うことを聞いてくれない。


「…ごめんなさい。足に力が入らなくてっ…」


泣きそうなくらいの小さな声でつぶやいて、無理やりバイクから下りようとした瞬間、わたしはバランスを崩してしまった。


あわや、バイクから落下しそうになったとき――。


「…っぶねぇ」


そう言って、黒髪の人がわたしの体を抱きかかえてくれた。


「ごっ…、ごめんなさい!」

「…ったく。世話のかかるお姫様だこと」


てっきりそのまま下ろしてくれるのかと思ったけれど、なぜかわたしの体はふわっと持ち上がる。


「…え。ちょっと――」

「いいから、大人しくしてろ」


困惑するわたしをよそに、なんと黒髪の人はわたしをお姫様抱っこしたのだった…!


そもそも、男の人に触れられることなんてなかったし、お姫様抱っこなんて初めてのことっ…。
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