Y'a pas que les grands qui rêvent
自転車で家路を辿る途中、なんだか、かつての記憶とは町並みが変わっているように思う。

田舎であることに変わりはないが、あったはずの店がなく、なかったはずの店があるという感じだ。

「近くに大型モールも出来たんだよ。まぁ、近くと言っても、自転車で30分だけど」

それこそ、さっきからもう40分以上は自転車を漕いでいる。

両親が迎えに来てくれなかったのは、やはり、この帰郷に反対だったのだろうか。

1時間近く自転車を漕ぎ、やっとのことで、家に到着した。

田舎なだけに、広い庭があるのは、うちに限ったことではない。

タンデム自転車以外にも、電動三輪にクロスバイク、かつて私が使っていたママチャリもまだある。

マイカーはというと、コンパクトカーが1台あるのみ。

かつての記憶だと、確か割と高級なセダンだったと思うのだが…。

「それにしても、流石に自転車ばっかり多すぎない…?」

「お袋は乗らない…というより乗れないんだけど、親父も健康のために乗ってるし、自転車なら税金かからないし免許も要らなくて、合理的でしょ?お姉ちゃんも乗っていいからね」
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