【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
足の力が抜けたのかペタリと座り込んでしまったレンティル様。

わたくしはレンティル様の前に座り込んで、最後にニッコリと微笑みました。


「うふふ………レンティル様、さようなら」

「リディア……ま、待ってくれッリディア!!!」

「女性を舐めて甘く見ていたら痛い目にあうと……覚えておくといいかもしれませんね」

「いや、嫌だッ……リディアッ、僕を、見捨てないでくれ……ッ」

「貴方ではなく婚約破棄を選びますわ……だって貴方に価値はないんですもの」

「ーーーッ!?」


わたくしは先程、レンティル様がシャーロット様に言ったセリフをそのままそっくりと返してやりました。

愕然とするレンティル様を置いて、わたくしは部屋を出ました。

お世話になったマベール侯爵邸の使用人の皆様にも丁寧にさよならの挨拶をします。

わたくしは馬車へと乗り込みました。
お父様とお母様は何と言うでしょうか。


「うふふ……」





end
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