あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので
 国王は許して下さった。たしかにその通りである、とおっしゃって。

「読書をする王族や貴族など、一人をのぞいて見たことがない。それならば、一人でも多くの国民に活用してもらったほうがいい。この国の文化にとっても、本自身にとってもな」

 国王陛下は、そうおっしゃったらしい。

 陛下のおっしゃった『一人をのぞいて』の一人が、王太子殿下であることは言うまでもない。
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