花タクシー💖伝説のフーゾクは実在した…⁉
怪しいタクシーゾーン



そしたら、ハゲオヤジの前に並んでいた、オレと同年代の男が口を挟んできた。


「要は、運賃を払えば乗せてってくれるの、自宅まで?」


「ええ。まあ、車内にはあそこで並んでる自称タクシー4台すべて、運転手以外女が3人乗ってますよ。だから車内で接待してきますよ、絶対」


「でも、とにかく金を払えば、どこかの店に連れ込まれるとかじゃなくて、家に送ってくれるんだろ?順番待たずに…」


「そうみたいですね。まあ、自分は百歩譲って、彼女連れてるから無理なんで、中の一人の女が下りると言ってきたけど、こっち戻ってきましたよ」


「…」


***


ここでの会話を、自分を含めて何人かの男が興味深そうに聞いていた。
まあ、考えてみれば、不思議なもんだ。


フツーの違法なタクシーなら、頭から”いけないもの”とひと括りして、あっち行きたいけど違法だしってことで躊躇する。
ところが、それがいわゆる白タクじゃなく、あくまでホステスだかコンパニオンだかフロアレディーだか知らないが、彼女ら従業員の乗せとご一緒の送りってことになると、どこか、ハードルがふっ飛ばせてしまうようで…。


実際、私もそう捉えてはいた。
つまりは、当事者間で了解の上なら、ノープロブレムだろうと…。


例えば、介護の仕事を業として営んでる訳じゃないけど、足の不自由な高齢のお客さんを会社に帰るついでにスーパーで買い物付き合って、5千円いただく…、これと同じでしょうと…。


そんな都合勝手な解釈でしっかり自分を自己納得させたのは、自分だけではなかったようで、先の同年代の男性は、早速、列を抜けて行った。


***


「なんか、面白そうだな。これも社会経験だし、オレ、行きますわ。金額を前もって聞いて、無理そうなら辞めりゃいいし」


その際、彼はこうつぶやいていた。
そしたら、オレの後ろの見た目20代の男も、「じゃあ、オレも行ってみるか…」と、なんかちょっと口元をほころばせて、足早に最初の男を追っかけて行ってね…。


この間、列に並ぶ女性たちは、もう不機嫌、いや、不快感極まる顔つきで憮然とした様子だったわ。皆…。
当たり前だけど…(苦笑)。


***



それで…、オレを含め、男連中は言うまでもなく、志願組2名の様子を興味深く目で追ったよ。
すると、二人とも、車外から身振り手振りを交え何ならやり取りして、程なく車に乗り込んでしまったんだ。


その車がロータリーを回る際、ドア側の若い女は、我々タクシー待ちの列に手を振っていたっけ。


「よし!オレもいこうっと…」


「オレ達もいこうぜ」


タクシー待ちの列からは、こんな男の声が次々と耳に届いてね。
その二陣がすんなり”あっち”の車に乗り込むのを確認して、私は無言で列を抜けた訳…。


とにかくあのまま順番を待っていたら、乗るの、一時間以上確実だったから。





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