君にたくさんのありがとうを



信じられなかった。


恋のいざこざは、友情が崩れるものだってあの日からずっと思っていたから。


仲の良かった英里ちゃんと未奈ちゃんとは、恋のいざこざで簡単に切れた。


だから、陽子ちゃんが“仲良くしたい”と言ってくれたことが信じられなかった。



「その方が颯馬も喜びそうだしね」



神代くんはとても良い友達に恵まれている。


鎌田くんも陽子ちゃんも、神代くんが怒りそうだから、神代くんが喜びそうだからって、神代くんのことを思って行動してる。


そんなことをしてくれる友達っていいなって、すごく思う。



「友達に……なってくれるの?」


「もちろん。友達になろ、詩織」



とても嬉しかった。


自然に涙がこぼれ落ちた。



「えぇっ、待って!泣かないで!?」



陽子ちゃんが駆け寄ってきてくれて、涙を拭いてくれる。



「その、とっても嬉しくて」


「詩織が喜んでくれて私も嬉しいよ」



ずっと真っ暗で何も無かった私の世界。


神代くんおかげで少しだけ変わった気がする。


ありがとう、神代くん。


神代くんにお礼しなきゃいけないことがまたひとつ増えたよ。


だから、早く目を覚まして───





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