あのねあのね、
「カメコ。俺、触っても平気?」
彼女の目の前に座り込むと、同じ目線で声をかけた。
全身震えるカメコが、なるべく不安にならないように……こわくないように……
カメコは潤んだ目をぎゅっと瞑ると、コクコクっと頷く。
それを確認して口元に貼られたガムテープを、できるだけそっと剥がした。
「っ、……ゆ、なぎくん」
「……こわかったよな。守るって約束したくせに、遅くなって悪い」
震える声でどれだけ恐ろしかったのかわかる。
同年代の男子がこわいというカメコにとって、この状況は拷問のような恐怖だっただろう。
キツく結ばれた手足の縄も解いていく。
こんな風に伝えるはずじゃ、なかったんだけど……
俺は手に残る縛られた痕を見て「なち」と呼んだ。────