あのねあのね、
「ねぇ…、あれなんの会話だったん?」
「全然わからない……すれ違いざまに盗み聞きするけど、内容はいつもよくわからない。ただ見てるだけで、すごい可愛いんだよ〜……!彼女のほうが聞いてほしくてたまらないって感じで彼に話しかけてるんだけど、彼氏のほうはそれを愛おしそうな目で見つめながら聞いてるっていう構図がもうたまらなくって……!」
「おぉ〜、力説ご苦労様」
「それに彼氏が彼女のことじっと見てるのやばくない!?好きが溢れ出すぎじゃない!?ずっとあの光景見てられるんだけど……尊い〜〜っ」
「拝んどるし……てか大声で恥ずいから戻るよっ」
「え〜っ?ちょっとまだ全然話し足りないんだってば〜〜」
二人の女子大生は言い合いながら、その場から離れていった。
暖かな日差しの中。涼しい風が木々を揺らしていく。誰かの楽しそうな笑い声も聞こえてくる。
テーブルベンチに並んで座る恋人同士の二人は、時折注目を浴びていた。