あのねあのね、



(こんなに考えてもらって、ありがたいな……)


ただ普段の私では絶対にしようと思わない服装に慣れず、やっぱりソワソワしてしまう。


そんな私を見ながら、スタッフさん達はなぜか満足そうな表情をしていたのだった。


「よし、仁呼んじゃお」


一華さんはスマホを操作しながらお会計のほうに向かう。


「先支払いお願いしてもいいかな?服は一括買取りで」


「っ!?」


スマホを耳にあてながら、カードを出して会計しようとする一華さんに慌てて駆け寄った。


「じ、自分でっ、払います…!」


「何言ってんの〜!付き合わされてるのはなっちゃんのほうなんだから。お金くらい払わせてもらわないとね」


「…………そ、んな」


「なっちゃん、人に甘えられる時は甘えていいんだよ」


「…っ…」


「ね?」


「…………」


────神様。
私は今、人生に残ってる幸せの全てを、使い切ってはいないでしょうか?


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