雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


「お小遣いならもうもらったけど?」

「今月はサービス」

「いいって。姉ちゃんが使えよ」

志貴はテーブルに食器を運ぶものの、そこに置いてあるお金を受け取ろうとはしない。

逆の立場になり考えると、受け取りづらい気持ちもわかる。


だけど、私は志貴がいるから頑張れる。

これは決して、一人で稼いだお金ではないのだ。


「いいの!使わないなら貯めといて必要なときに使いなさい」

「……わかった。じゃあ、貯金しとく。ありがとう」

テーブルの上に置いてあったお金が無事、志貴の手元へと渡ったのを確認し、私はキッチンを後にした。
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