偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
突然のカレンの豹変ぶりに、酔っている恋の頭が追いつかない。ただただ目の前のカレンの変わりように目を瞠るばかりだ。カレンに何を言われたかも理解が追いつかないでいた。
瞬間、これまで保たれていた均衡が木っ端微塵に砕け散る。
といっても実際にそのような音がした訳ではない。あくまでも恋がそう感じただけだ。
酔っていながらも本能的に身の危険を感じ取った恋は、僅かに怯んだ。
目一杯広げた腕を引っ込めようとした刹那、カレンによって、華奢だと思っていたのだが、やけに逞しい腕により強い力でぎゅうぎゅうに抱き込まれてしまっていた。
つい先程、怖い。そう感じたはずなのに、カレンの抱擁も醸し出す爽やかなシトラス系の香りも何もかもが愛おしいとさえ思ってしまうのはなぜだろう。
カレンによってぎゅうぎゅうに包み込まれて、苦しいはずなのに、ちっとも苦しくない。
その重さも強さまでもが愛おしく思えてしまう。
どういう訳だか離れたくないとさえ思ってしまっている。
恋は酔っていながらも、己の心情に盛大に戸惑ってしまっていた。
もちろん、そんなふうに感じてしまう自分にもだが、豹変したカレンに対してもだ。