略奪女子ネット村
最初の10日間/願掛け





準備は整った


机の上にはお札のピース2枚が、A3サイズの台紙に置かれていた


台紙は略奪祈願用に”略奪女子ネット村”サイトが作成したもので、へんてこな模様と文字の印刷がランダムにちりばめられ、さらに横線で10等分の赤いラインが引かれている


今日初日は、その最上部枠の左端にでっぱり、右端にへこみのピースという配置である


マユリはさっそく、初めての願掛けに取り掛かった







まず、ターゲットである彼をスマホで盗み撮りした彼の顔写真の画像に向かって、10秒間声を出して数えながら凝視する


次に、目をつぶり、10秒間野上ヒサシの名をなるべく数多く唱える


従って、必然的に早口でまくしたてることになる


”ノガミヒサシ、ノガミヒサシ、ノガミヒサシ…”


目を閉じたマユリは憑りつかれたように、ノガミヒサシを繰り返した







”さあ、ここで合体よ…”


マユリは姿勢を正し、深呼吸をしてから、両手を左右のピース2枚の上に添えた


そして各々、人差し指と中指の2本でゆっくりと10を数えながら中心のひし形の枠に向かって移動させ、数え終わった直後に、でっぱりとへこみを枠の中でつなぐ


その間は、ただひたすら略奪する”障害”の存在だけを頭に浮かべるのだ


つまり、南原ねねの存在を…




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