略奪女子ネット村
絶好の機会/ある授業





成就祈願グッズが届いて4日後、マユリにとってまさに絶好の機会が訪れた


ホームルーム枠のある授業で、ヒサシと同じグループに入れたのだ


それは…


常盤南高校の名物授業、”サイレント・ペーパー・コミュニケーション”という、一風変わった学年全クラス一斉の体験型授業であった





いわゆる対人関係の融和を狙ったもので、ワンコーナー8人の男女生徒が輪を囲んで座り、ランダムに紙に書いた文字でコミュニケーションを成立させるとうもの…


その際、目元を覆う紙のお面をつけ、授業の開始から終了まですべての人間が一切言葉を発することを禁ずる


まず任意に相手を選び、手元の紙に質問なり問いかけを簡潔に記入し、その相手には立会いの教師が届ける


ペーパーを受取った人間は、回答なりの返事を紙に書いて、教師を経由しその相手に返さなければならない


その内容は一切問わず、紙に書かれたに文字を教師が見ることはなく、終了時にはすべてのペーパーを教師が焼却するというものだ


この授業は、友達ができない生徒など、友人とコミュニケーションをとることが苦手な生徒に、ケータイなどとは違った、人と直接接しながら文字でコミュニケーションを図る訓練を主眼としていた






今月の”それ”は、あさっての金曜日6時間目だった


”よし!明日は勝負に出る。せっかくのチャンスだもん。絶対に思った通りに持って行かなきゃ…”


前日の夜、マユリはベッドの中で用意したヒサシへの質問を確認しながら決意を新たにしていた…





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