【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「カナト、突然どうしたの?」

 カナトは私に、「俺、しばらくここに住むことにしたから」と言ってきたのだ。 
 
「えっ、なんで?!」

「なんでって、ここのが会社近いから」

 いやいや、そうじゃなくて……!

「そうじゃなくて、なんでいきなりここに住むとか言い出すの!?」

「だから、言っただろ? あんな馬みたいな男じゃ姉ちゃんのことは守れないって」

 だから、そうじゃなくて……!

「だからって、なんでカナトがここに住むことになるの?」

「姉ちゃんのこと守るなら、近くにいないと守れないだろ?」

 えっと……カナトはこんな人じゃなかったような気もする。
 カナトはこんなに強引じゃなかった。

「守ってもらわなくて大丈夫だよ。私には、レイヤがいるから」

「だから、アイツはダメだって言ってるだろ」

 カナトは頑なにレイヤのことを否定するから、私はどうしようもない。

「どうしてダメなの?」

「アイツはバカだからだ」

 バカって……。レイヤのことをバカだと言うのは、なぜなの?

「どうしてそんなこと言うの?レイヤは優しくていい人よ」

「姉ちゃんはアイツのこと、何も分かってないな」

「分かってないのは、カナトの方でしょ?」
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