【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
■第七章


「ねぇ、カナト。話があるんだけど」

「話? なんだよ?」

 カナトは冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、私の方に振り返る。

「カナトにね、お願いがあるの」

「お願い?」 

「うん」

 カナトにこの話をしようと決めたのは、それから数週間経ってからだ。

「なんだよ、お願いって」

 ペットボトルのキャップを回しながらソファに腰掛けるカナトに、私は「カナト……ここから、出てってほしいの」と伝えた。

「……はっ?」

 カナトはペットボトルを握ったまま、私を見る。

「お願い。そろそろ、出て行ってくれないかな」

「おい……冗談だろ?」

「冗談なんかじゃない。……本気だよ」

 カナトに出てってほしいと思ったのは、ここ最近の話だ。 レイヤはカナトがいることで、とても居づらそうだし。
 カナトは私とレイヤの仲を引き裂こうとするし、もうちょっと限界に近い。

「なんで急にそんなこと……」

「急にじゃない。……ずっと考えてたことだよ」

 カナトは私の大切な弟だし、大切な家族だと思ってる。 でもね、レイヤも私の大切な家族なの。
 レイヤは私の夫で、私が支えたい人なの。

「……アイツか」

「え……?」
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