君がくれた幸せ
 …きっとそう。
 あの自分の知っている彼女は別れ際、自分の“娘”に自分と同じ名前を、と言っていた。

 この屋敷の医者に診せられた彼女は、そのままその相手に見初められたのだろう。

 彼女にはきっと自身の運命が分かっていた。
 昔占った際にそばにいた少年の正体も、自分とは決して一緒になれないことも。
 そして別れた自分に向け、自身の幸せと元気で生きている証として娘に同じ名を付けたのだ。
 あのときの約束通り。

 彼女は誰にでも好かれる最高の、腕の良い占い師だったのだから…



 良く晴れたある日。
 バラドは何年かぶりにあのコリーンのあつらえてくれた服に袖を通し、メイドのコリーンと若主人とともに墓を訪れる。
 
(…幸せになれて良かったな、我が親愛なるコリーン…。俺も生きている、それもお前の望んでくれた通り“人間らしく”だ。お前のおかげだ、本当にありがとう…)

 彼女に手向けられた花は、彼の記憶にある彼女のように凛として咲いていた…


< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

きらめきテレスコープ

総文字数/8,372

青春・友情17ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 「布施くんなら見つけてくれるかな…私を…」クラスの変わった女の子と、その子が気になる俺。  交流を通して向かう、その先に…
表紙を見る 表紙を閉じる
怒りに駆られる俺様王子のもとに無理やり連れて来られたのは、一匹の鬼っ娘(こ)。
すずの短文集

総文字数/12,823

詩・短歌・俳句・川柳35ページ

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop