溺愛執事と極上生活
執事
その日の昼━━━━━

教室前に執事達が、集まってくる。
「風葉さん、一緒にレストラン行きましょ?」

「あ、ごめんね!
私、お弁当なの」
「そっか!
じゃあ、後でね!」
小さく手を振り、毬音が教室を出ていく。
そして敷波と共に、レストランへ向かった。

風葉も、弁当を抱え教室を出た。
毅登が微笑み待っていて、さりげなく弁当を取り風葉の手を握った。

「風葉様。
午前中の授業、お疲れ様です。
“いつもの場所”に参りましょう!」
「え?」

「風葉様のお気に入りのあの場所です!」


ゆっくり毅登に手を引かれる。
エスコートする時のような、繋ぎ方。

なんだか、気恥ずかしい━━━━━/////
普通に手を繋ぐ方が、まだ気持ち的に楽だ。

(いやいや、それもハズイ!!/////
でも、繋いでたい気もするし……)

「あ、あの!」
「はい」

「手…/////」
「あ、お嫌ですか?」

「いえ。
せ、せめて、普通に繋ぎませんか?」
「…………
申し訳ありません。
風葉様は、僕のご主人様です。
普通に手を繋ぐというのは、できかねます。
でも、この繋ぎ方はお嫌ですよね?
では、離しましょう」
毅登はゆっくり手を離すと、風葉の後ろに控えた。

「風葉様、参りましょう!」
そして、微笑み言った。

「あ…は、はい…」
(手…離れちゃった……
あんなこと、言わなきゃよかったな……)


いつもの木陰。
「風葉様、少々お待ちください」

そう言って、レジャーシートを敷く毅登。
「あ、私も、お手伝いします!」

「そんな、滅相もございません!
風葉様のお手を煩わせるわけにはいきません!」
微笑む毅登に、風葉はなんとも言えない気持ちになっていた。

「風葉様。
お待たせしました。
どうぞ?」
腰に手を添えて、座るように促す。

「あ、はい。ありがとうございます」
靴を脱ぎ座る。
その靴を、毅登が揃えた。
そして風葉の膝にランチクロスを敷いて、色とりどりのサンドイッチが入った弁当を置いた。

「お飲み物を準備します。
召し上がっててくださいね!」

「あ、はい。
名高さんも、一緒━━━━━」
「え?」

「あ、いえ…何もないです……」



一緒に食べませんか?
━━━━って、一緒に食べれるわけがない。

風葉は、小さく息を吐くのだった。
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