Departure in the late teens

Departure11

〜見えなくなった妖精〜


マネージャー(M)
(おう! お前ら来たか!!久しぶりだな!)


真嶋、明日和、満島(おはようございます! お久しぶりです!)


M(とりあえず お前ら三人しか もう声はかけてないで 四人で ゆうくんの ところまで行こうか!)

三人(ハイ!!)


M(マジが ゆうくん の入院しとる病院の場所、分かるんだよな!? 運転頼むぞ!!)

真嶋(ハイ!任せてください!)



どんな顔をして悠姫と向い合えばいいのか正直不安だった。


あの夜、悠姫の心の内は聞いていて 何が大きなストレスとなったかも予想がつく。


そして何より悠姫が自分に気持ちを寄せていてくれたこと、自分も悠姫には確実に心惹かれていた事実。


それだけどマジと悠姫の仲を成立させようとした自分の意思。


明日和と悠姫の仲を当然何も知らないで悠姫を愛し、今日も病室に向かうマジのこと


いろいろ考えると自分の存在が あまりにも汚く感じた。



M(で、マジと ゆうくんは 今付き合っとるのか?)

マジ(いえ(汗)

(それが まだ直接 告白はしてないんですが(汗) なんて言いますか、とりあえず勇気がなくて、、、)

(一応 僕の同級生の友達とかが なんとなく聞いてくれてたようなのですが ゆうくん の反応が微妙だったようで、、、(汗)


M(そうかぁ。。。 )

(なにぃ それで お見舞いは 毎週来とるのか?)


マジ(いえ、 それが お見舞いも 今日で二回目でして もう なんていうか 少し ゆうくんに近寄りがたくなってしまいまして 、 もう そっとしておいてあげようかと、、、(汗)

明日和((え!?(汗))


M(そうなんだ、、、、、 まあ とりあえず 今日は このメンバーで ゆうくんを励ましてこような!)


マジ(ハイ!)
明日和、満島(ハ、ハイ!!)



病院に着き病室に向かう途中、廊下で悠姫のお見舞いに来ていた父親と対面した!


マジ(あ!! こんにちは!)

Y父(あぁ!こんにちは! 真嶋君 来てくれたんだね!)



マジ(マネージャー、ゆうくんのお父さんです!)コソコソ. . .

M(こんにちは! 悠姫さんのお父さんですか? わたし丹村と申しまして こいつらの・・・(あぁ!!丹村さん いつもうちの悠姫がお世話になっていたようで (汗) Y父

(わざわざ来ていただいて すみません!!)

M(いえいえ こちらこそ 悠姫さんには いつも場を盛り上げていただき ホントにスタッフ全員楽しませていただきまして感謝してます!!(汗)


・・・・・・・・。



そして マネージャーとの挨拶が終わると 悠姫の父親と明日和の目が合った。



Y父(明日和くん、 ですか?)


明日和(ハ、ハイ!!そうです!!(汗)

(はじめまして、こんにちは!!(汗)



悠姫の父親は優しい顔をしていたが どこか厳しい表情にも見えながらも微笑んで

(ありがとうございます。 よく来てくれましたね。悠姫を励ましてやってください。よろしくお願いします。)


明日和(ハ、ハイ!!(汗) 僕でよろしければ(汗)


明日和は深く頭を下げて返事をした。
この時 相当 嫌な汗をかいたのは確かだった。



そして 部屋に案内されると

コンコン. . .

悠姫(. . . .ハ. .ィ. . .。)

ガチャ. . .⭐︎

悠姫の父は ほんの少しだけ扉を開け その隙間から やさしく静かに悠姫へ話しかけた。

Y父(悠姫、名古屋の丹村さんと真嶋君達が来てくれたから 入ってもらうよ)



悠姫(. . .ぇ!?. . .ぅ 、 ぅん. . . .)



いつも元気な声しか聞いた事がなかった悠姫の声は 悠姫が味わった全ての悲しみ苦しみを感じさせられるくらい か弱い声になっていた。


Y父(では こちらの部屋ですが とても暗いので 最初は何も見えないと思いますが そのうち 慣れてくると いろいろ見えると思うので 悠姫と 話してやってください。)


四人は部屋に入ると直ぐに 悠姫の父がドアを閉めて室内に光が入らないようにした。


テジ以外の三人は驚いた!!


何も見えなかった!!


真っ暗でどこに悠姫が寝ていて 部屋の中がどうなってるのかも 全く分からなかった!!


満島(な、 何も見えないですが みなさん 見えてますか?(汗)


M(ゆうくん、、 見えんけど お見舞いきたよ!大丈夫?)


目頭が熱くなった、、、哀しくて、悲しくて、、、。
隣に居る仲間を確認することもできないくらい暗い部屋の中で寝ている悠姫のことを想うと、、、。



悠姫(マネージャー. . . . み んな. . . きて . . .くれて . .ぁり が とぅ. . .)



明日和(ゅ う ぢゃん. . . . .(涙)


悠姫(ぁ す くん. . . . ぁり がと ぅ. . .)



(みんな. . . . .その場所から 部屋の左隅の方に. . .意識してもらうと. . .少しだけ 隙間に光が見えると思うけど . . . そのあたりを見てると だんだん. . . いろいろと部屋の中が見えてくると思います. . . .)

悠姫に言われた通りにして しばらくすると、




満島(あれ? 目が 暗闇に慣れてきましたかね? )

(あ〜!?ゆうくん 、が 見えてきたかな?)


M(おぉ!! ホントだなぁ! ゆうくん 見えてきたよ!! )

(ゆうくん そこに おったのかぁ!!)



悠姫(み ぇ ました?. . . よかっ たぁ. . .)


(こん な . .姿 .見られたく なかったけど. . . 来てくれて . . .やっぱり嬉しいです. ..)



久しぶりに悠姫の顔を身近に見たのに
見た事のない悠姫の白くこけた顔は 見るのも辛かった、、、だから 悠姫だって見られたくなかったに決まっている、、、


悠姫は病気で弱っているのに 暗闇の生活をネタに四人を笑わせようともしていた。



悠姫((わたし. . . みんなのことは. . .ずーっと. .見えてたよ . . .見えるようになるまで. . .みんな おもしろい顔してたよ. . .夜行性動物みたいに. . .なれたんだから. . .(笑))





こんな時まで 悠姫を演じていた。自分は本当に楽しくなくても 頑張ってまで楽しませてしまう 悠姫を演じていた(涙)



明日和は それに合わせて 半ば無理矢理、ボケまくって 悠姫にノった。
気丈な悠姫にはかなわない、、、、、。



((ゆうちゃん ごめんね , , , , , , , ,(涙))



((ゆうちゃん. . . . . .))



((ゆうちゃん . . . .))



((ゆぅちゃん. .ごめんね. . . ))





悠姫を疲れさせないように当然 長居はせずに四人は部屋をあとにした。



Y父(悠姫は ああ見えて 凄く繊細な子でしてね、、、 子供の頃から からだも そんなに強い方ではなかったんですよ。
でも、あの子を いろんな形で 追い込んでしまったのも 実は 私達だったのかもしれない、、、(汗)


(あの子が幼い時に見た世界は ここでは 恥ずかしくて 話せれるようなことではないのですよ、、、)



(本来 男性に近づくこともできないくらいでした(汗)



(また 私達の家業を継がせようとしたことも あの子には いけないことだったのでは?と 今では 強く反省するほどになってます、、、)


(とはいえ 私ども同じ同業者で丹村さんをはじめとして真嶋君達と出逢い 共に過ごさせていただけたことは感謝してます!!)



(明日和くんも 今日は悠姫と話してくれて ありがとうございます)


明日和(!!(汗)

(い、いえ(汗) 僕が なにか悠姫さんの力になれたかは分かりませんが 大変な時に 今日は 悠姫さんに合わせてくれて ありがとうございました、、、(汗)


最後、悠姫の父親が見せた寂しげな微笑みと名指しされたことが やけに胸につかえた、、、。




そして病院から帰る時 車中で


M(もう ゆうくんは 復活するまで 遠くから そーっと見守ってるだけのがいいかもな。)



マジ(、、はい、、そうですよね。)

(僕も 前回の お見舞いの時に そう思いまして距離をおく方に考えていたら ゆうくんへ向ける自分の気持ちも場合によっては諦めるしかないかと、、(汗)


M(なるほどな、、、、マジの考えも分かる気がするな。 それで いいのかもしれんな、、、。)




ことばがなかった、、、、、。




M(おい、 そこの モガミにでも寄って うどんでも食べてくか)


三人(はい! )
マジ(では 、寄りますね!)




好きな味噌煮込みうどんを注文した。
こんな日の 味噌煮込みうどんは しょっぱい味に思えて 美味しくなかった。




食事を終えマネージャーを店舗兼自宅に送り解散すると 明日和は自分の車に乗り込む前に店舗の正面側にある自販機にドリンクを買いに行った。


そして 懐かしい店の前に立ち



明日和((ここは あまりにも想い出深い場所だ。。。))


((入社した16歳の年 ここに横付けされた沙彩さんのソアラの中で かおりさんと出逢い、17歳の年に出逢った理恵ちゃんとカズちゃんと あの出窓の下で待ち合わせて何度も遊んだなぁ。。。))



((みんな 元気にしてるかなぁ?。。))



((今となっては 連絡先も居場所も全くわからない。))



((あの時代は 携帯もなかったから 連絡を取る手段が不便だったけど あれはあれで トキメキがあったなぁ(笑)。。。))



((しかし 泣けたなぁ。。。あの時は。。。。。理恵ちゃん かわいすぎだよ。。。あんなこと最後に言うなんて反則だよ(笑)。。。))



((あ!!、 そういえばテルさんも この出窓の下に最後来てくれて 長岡さんが退院する日、一緒に会いにいったぁ。。。))



((あの時 テルさんがくれた ターコイズがついたシルバーのヘェザーペンダントトップは 今も僕のもとに⭐︎))



((僕が 名古屋で知り合った女性達は みんな やさしくて 可愛くて おしゃれで おもしろくて ホントに素敵な人達だった。。。。。))





((・・・・・ だけど、僕は、、、))





((僕は 最後に名古屋で知り合って仲良くなった ゆうちゃんを、、、))





((ゆうちゃんを 泣かせてしまった、、、、(汗))





((また 泣かせて、、、、(涙))





木漏れ日の隙間から♪
現れた妖精たちは♪
色とりどりの花の♪
香りに酔いしれて踊る♪
ここは誰もが皆 失ってしまった楽園♪

伝説を信じない愚かなサイエンスが♪
見たものは傷ついたこの惑星♪

into the forest. . .♪
精霊の嘆く声かき消して♪
into the forest. . .♪
何もかも奪い取ったその先は♪
GOD ONLY KNOWS♪


・・・・・・・・・♪



((ゆうちゃん ごめんね。。。はやく 元気になってね。。。(涙))




into the forest. . . ♪
今日もまた迷い込む 深い森♪
into the forest. . .♪
枯れた木に 妖精が死んでいる♪
into the forest. . .♪
悲しみが 瞳からこぼれだす♪
. . .遠い昔
. . .楽園に沸いた水




・・・・・・・・・。




お見舞いに行ってから 三ヶ月くらい経ち 悠姫は年下の彼ができて 結婚を前提としたお付き合いが始まったという情報を耳にした。


そして その彼と付き合い始めたのと同時に家業を継ぐ事を辞めて 家を出たとのことだった。



この情報を耳にしてから 悠姫のうわさを聞くことも、会うことも、偶然出逢えることもなくなり しばらくすると携帯電話も繋がらなくなった。




明日和が名古屋から帰る時に車の中で聴いた曲
「布袋寅泰のアルバムGUITARHYTHMⅡのPARADISEより引用
作詞 : 森 雪之丞

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