余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。
「うっ,それは気のせいだよ……年もそこそこ食ってるし…」

「27でその発言は,全マダムを敵に回しますけど,大丈夫そうですか?」



全マダムは関係ないじゃない!

負けじと言い返す。

お蕎麦さんの店員さんが,ちらちらと私達を見ていた。



「で,でも! 佐藤くんと差があるのは本当でしょう?!」

「は? 私だって数年前,友達のお兄ちゃん(6つ年上)と付き合ってましたけど?」

「佐藤くんと違って,恋愛経験だって皆無だし……」



それでもまだ分かってくれない?

木村さんは限界まで目蓋を持ち上げて,私を凝視する。

……ほらね,やっぱり。

この年の私がそれじゃ,若くて余裕たっぷりの彼には合わないでしょ?



「……先輩のばか。そんなの,出雲くんには嬉しいだけですよ」

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