小悪魔と仮面舞踏会

「松山…」

私の名前を呼んで何か言おうと宮沢が口を開きかけたとき…

「こんなとこに居たの!?瑠美音ちゃん」

聞きたくもなかった…

会いたくもなかった…

顔も見たくなかった…

あの子の声が聞こえた…。

『実瑚…』

「久しぶりだね♪」

二カッと無邪気に笑って言う実瑚…

違う…

無邪気なフリをして…。

思い出したくなかった…。

この子のことだけは。

ずっと記憶の片隅に封印しておきたかった。

「まさか瑠美音ちゃんが私の転入先の高校に居るなんて思わなかったよ!!」

明るくて可愛いく女の子らしい彼女は

今でもなお

きっと私を憎んでいるだろう…

私を恨んでいるだろう…

牧原 実瑚

【まきはら みこ】

それが彼女の名前…

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