最強王子とフェンス越しの溺愛キス


無事に部屋から、そして建物から出た私たち。

ずっと走ってくれた生吹くんに休んでもらいたくて、私が「少し座っていい?」と提案した。



「ここなら大丈夫か。Moonの奴らがチラホラいるし」



そう言って生吹くんが私を降ろした場所は、建物から少し離れた空き地だった。


客観的に見ると、建物はすごく古い。

窓は割れてるし……いわゆる廃墟。



「(建物の中を移動している時に何となく察していたけど……ここまでだったなんて)」



禍々しい雰囲気の建物に、思わずブルッと身震いをした。



私と真白ちゃんが閉じ込められていたのは三階らしい。

窓がなかったからてっきり地下だと思っていた。

けど不思議なことに……どの階のどの部屋を見ても、窓がない。



「変な建物、だね……」



すると生吹くんは「…っ」と少し言葉を詰まらせた後。


「美月はこんな所、知らなくていいんだよ」と言って、私の隣に座った。


< 211 / 447 >

この作品をシェア

pagetop