最強王子とフェンス越しの溺愛キス


『ねぇ。おつきさまって、すき?』
『きらい。だって、くらくなると、あそべないもん』




ある日、突如として質問された俺は、そっけなく答えた。美月を見ると「そっかぁ」と悲しそうだった。何があったか尋ねると、自分の名前の漢字に「月」が入っているという。



『うつくしいつき、ってかいて、みつきなんだって』
『うつくしい?』

『きれい、ってこと』
『きれい……』



まんま美月じゃん。俺は、そう思った。


だけど、さっき自分が「月は嫌い」と言ってしまったのを思い出して、慌てて美月の手を握る。




『よるは、きらい。だけど、みつきのことは、すきだから!』
『えっ』



自分の顔を真っ赤にして言ったそれは、なかば告白のようで――


気づいたら、俺の赤面にあてられて、美月の顔も真っ赤になっていた。だけど、勇気を出して頷いてくれたんだ。

< 407 / 447 >

この作品をシェア

pagetop