最強王子とフェンス越しの溺愛キス

生吹くんは、まるで下校中のように……。まるでケンカなんてなかったかのように、ファミレスに来て、私の隣に座る。

周りの人から見たら「たった今ケンカを終えて来た人」……には、見えないんだろうなぁ。



「(私から見ても、普通に見えるくらいだし……)」



傷一つない。

制服に一点のシミすらない。

靴の汚れも、何もかも――生吹くんはお昼のままの生吹くんだった。



「あ、の……大丈夫、なの?」



どこか見えないところが怪我をしてるんじゃ――?

そう思って声を掛ける。

けど、



「うん。暗いから少し手間取っただけだよ。俺は平気」

「そ、そうなんだ……」



手間取った……って……。

こんなに早く合流出来るとは思ってなかった。けど、生吹くんにとっては、今日は手間取った方なんだ。



「(圧勝だったんだ、生吹くんの)」



新島や一輝くんの言う通り、生吹くんは本当に強い人なんだ。総長って噂されるくらいに。


< 88 / 447 >

この作品をシェア

pagetop