誰か僕に気がついて
3月24日

明日はついに給料日だ
1ヶ月、長かったな
バイクも慣れてきたし
調子が出てきた

最近、夜はクタクタで
ゲームもやっていない
やっぱ、ゲームのやりすぎは
ヤバイな

昨日の夜、母さんに
バイトしてることがバレた

「あんたさ、この頃
チャラチャラしてるけど
大学行く気はあるの?

みっともない姿で
その辺ウロウロしないでよ」

僕は黙っていた

今年中に100万
貯めてやる

専門に合格したら
あとは僕の好きなように
生きられる

「世間体っていうものが
あるんだからね
恥をかかせないでよ!
早く大学決めなさい!」

僕のことより
自分のことしか
考えていないような
言い方だった

ムカついたけど
話す気にもなれず
べらべら喋る姿に
僕は幻滅していた

フン!来年になれば
さよならだ


6月23日

どうしよう・・・

とんでもない事故を
起こしてしまった

もう、何もかも終わりだ

バイトに向かう途中
僕は最高にいい気分だった

国道沿いの道で
ばあちゃんが歩いていた

エッ!ばあちゃん
何でこんなところを
歩いてんだ!

そう思って
ほんの一瞬振り返った

その時だった

目の前の車に
思い切り突っ込んだ
僕はバイクごと
転がった

高級車だった

わけがわからず
立ち上がれなかった

すぐに車の中から
ヤバそうな奴がでてきた

まずい!頭がパニックになった

「ニイチャン!やってくれたね
ニイチャンじゃ、一生かけても
弁償できねえかもなあ!」

薄気味悪く笑った

「免許証見せろ!
警察に言うなよ!」

首を絞められ
耳元でささやかれた

「また、連絡すっから
お母ちゃんとよ~く
話し合ってておけよ!」

怖くて体が動かなかった
最悪なことに
あたりに誰もいなかった

母さんが知ったら
なんて言われるだろう

家に帰ると体中が震えだした
両手で自分の体を必死で押さえた

「どうしよう・・」
涙があふれてきた

僕は枕に顔をうずめ
泣き声がもれないように
ただひたすらに泣いた













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