明日翔くんの求愛行動は間違っている


 拳でソファを、ボッコボコ叩く。


 それでも心の荒波は、しずまってはくれない。



「あぁぁぁぁ、もう!

 地球人の女心
 ホントわかんねぇ~~~!!」



 悲しみを溶かした怒鳴り声を

 部屋中に響かせた時


 ガチャリ!


 理事長室から保管庫に続く

 ドアがあいた。




 ドアから出てきたのは

 スーツ姿の若い男性。


 胸まで伸びた

 桜色の艶髪をなびかせながら


「あらあら。

 宇宙の王子様は
 恋にヘタレすぎではありませんか?」



 ソファで伸びている俺を見て
 
 クスクスと笑っている。



 こいつには俺が

 ふてくされている幼稚園児に

 見えているんだろうな。


明日翔(あすか)は相変わらず、ヤンチャで可愛い」


 そう言いながら、微笑んでるし。

 俺を癒し対象にしてるのが丸わかり。



 なんかムカつく。

 
 付き合い長いし、一緒に寮に住んでるし

 慣れっこといえば慣れっこだけど。


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