ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


 歩道の横に設置された消火栓に、思いっきり体をぶつけてしまった。


「考えごとして歩いてるからだぜ」


「いたたたたたぁ……」


 シャレにならない、消火栓の頭にある丸く尖った部分に、お股が……


「だいじょうぶか」


 痛がる私を不憫に思ったのか、奈緒くんが私の横へ立って腰に腕を回してきた。


「ありがとう……」


 ちょっと恥ずかしいけど、奈緒くんと体が密着してるので嬉しい。

 私は体を支えてもらい、内股で少しづつ歩き始めた。


「もうすこしで家なのに、成長して大きくなっても姫乃は姫乃だな」


「うるさいな!ほっといてよ~!」


 他人とふざけながら話をするのって、最近はなかったかもしれない。



 なんだかちょっと、心地いいような気がする……






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