【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

番外編 姉は推し活をしている(弟目線)



 ジークの姉である、メルシアは、本人の自覚はないが、可愛い系の美人だ。

 鼻が低いことを気にしているようだが、大きな瞳とそれを縁どる淡い茶色のまつ毛は人形のように長いし、プルンと艶やかな唇は赤い、ジークの姉メルシア。

 その造形に、少し低めかもしれないがその鼻が、可愛らしさを添えている。だがしかし。

「ランティス様がものすご~くカッコよかった話、聞く?」

 いつも、明るくて、領民思いで、メルセンヌ伯爵領を襲った災害の後、メルセンヌ伯爵家が領民のために切り詰めた生活をしている日々に文句もなかったメルシア。

 それどころか、何を思ったか「家計の一助になる!」と宣言し、メルシアは、王都で治癒師として働き始めた。

 メルシアと、ジークの父と母は、現在領地の復興のため王都には不在だ。
 だから、メルセンヌ伯爵家の辛うじて残っている王都の屋敷に姉は暮らしている。
 一方ジークは、王立騎士団の養成所の寮にいるため、あまり姉と会うことはない。

 本日は、久しぶりのメルセンヌ姉弟水入らずの食事のはずなのだが……。

(姉さんは、恋にでも落ちたのだろう)

 初めのうち、ジークは、姉の初恋を微笑ましく見ていた。
 しかし、フェイアード侯爵とメルシアとジークの父であるメルセンヌ伯爵は親友のはずなのに、メルシアとランティスは、出会いからして物騒だった。

「は? 孤児院の子どもと人攫いに襲われた?」
< 129 / 217 >

この作品をシェア

pagetop