【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。

「メルメルを前にそんな気配。余裕がないねぇ」
「……話せ」
「うんうん、もちろん。でも、その前に、研究のデータ教えてくれるかな? どれくらいで、狼に戻ったの」

 ランティスの冷たい雰囲気に耐えて、自分のペースを守ることが出来るアイリスを、メルシアは素直にすごいと思う。
 魔道の探求のためには、それくらいの気概がなければいけないのだろうか。

「…………はぁ。……2時間だな。そのあとは短くなって、今は元通りだ」
「――――そう。思ったより長持ちしたね。ところで、メルメルの魔力以外の関連因子はありそう?」
「…………おそらく」
「ふ~ん」

 そこまでの、強引さが嘘のように、それだけ呟いて引き下がったアイリス。
 赤い唇に触れる人差し指。すでに、その思考は原因の追究で一杯なのだろう。
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