言えないまま・・・
13章 どこへ?
「精神的ストレスが随分たまってるんじゃないですか?」

心療内科の先生が、私の話を最後まで聞いて優しい目をして振り返った。

私はあの日倒れて、しばらく動けなくなっていた。

直太のすすめで、紹介された心療内科に来たんだ。

心療内科になんか行くほどじゃないって、何度も言ったのに直太は聞き入れてくれなかった。

ほんと、しょうがなしに来たって感じ。

ストレスがたまってるなんて、それほどでもないでしょ。

昔、同じようなことがあったような気がする。

あれは、10代の頃だったかなぁ。

思春期まっただ中のある日の朝、突然息苦しくなって動けなくなったことがあった。

そんなこと、よくあることだし、命に別状ないんだから。

まぁ。

確かに最近色々あって、自分の気持ちも不安定になってたのは事実だけど。

「息苦しくなられたのは、おそらく過呼吸でしょう。過度にストレスをため込むと過呼吸になられる方は結構いらっしゃいますよ。あなたの今抱えている問題が解消されれば、自然に治ります。」

問題が解消?

どうやって解消すればいいのか教えてもらいたいくらいだわ。

でも、こんな話、やっぱりお医者さんとはいえ、赤の他人に話す気には到底なれない。

もう少し自分で考えたいし。

ただ、先生に諭されるまま、何も言わずに病院を後にした。
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