トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜

スランプを抜けて

「よーい、スタート!」

今日は、前回どうしてもOKが出ずに、後回しにされたシーンの撮影。

どうだろうかと、やや心配そうに藤堂監督が見守る中、瞬は机が並ぶオフィスを、颯爽と歩いて上司の机に向かう。

「部長」
「ん?どうした小石川」
「新しい企画書です」
「もう出来たのか?どれ…」

難しい顔で渡された資料をめくっていた上司は、やがてニッと口元を緩めた。

「いいんじゃないの?なんだ、お前やれば出来るじゃないか」

瞬は嬉しそうに頷く。

「この調子で進めろ」
「はい!」

返された資料を手に、瞬は声を張って返事をする。

目に力のこもった瞬の顔を、カメラがアップで映した。

「はい、カットー!」

(おやおやおや?これは何か掴んだな?)

ドラマの上司と同じように、監督もニッと口元を緩めた。
< 152 / 173 >

この作品をシェア

pagetop