トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜

涙のクランクアップ

「はい、本番。よーい…スタート!」

夜の公園。

バスケットゴールに何本かシュートを打ちながら、秀は呼び出した紗耶香が来るのを待っていた。

ボールを構え、ゴールを見据えてからポーンと放ったシュートは、リングにゴンと当たったあと、ゴールネットに入った。

「ナイッシュー!」

後ろから紗耶香の声がして、秀はボールをつきながら近づいて行った。

ふう…とベンチに座ると、お疲れ様と紗耶香は缶コーヒーを差し出した。

「ありがとう」

受け取って、2人でしばらくコーヒーを飲む。

「なーんか懐かしいね。あの頃が」

やがて缶コーヒーを両手に挟み、バスケットゴールを見上げながら紗耶香が言う。

「夢中だったよね、みんな。全国優勝!って目標に向かってさ。毎日、ひたすらボールを追いかけて、私もそんなみんなをサポートして…勉強した記憶がないわ」

ははっ、俺も、と秀は笑う。

「でもみんな輝いてた。青春そのものだった。あの頃の思い出は、今でも大事な私の宝物よ」

そう言って笑ったあと、ふっと小さく呟く。

「もうあんなキラキラした日々は、この先もずっとないんだろうな…」
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