星みたいな恋をしよう
3、暴かないで〜スピカの下で答え合わせを〜
薄暗い講義室の中では、マイクを手にしたアーサー教授が歩きながら話している。それを絆たち学生はメモを取りながら聞いていた。

「嘘をついた時、人間は様々な行動を取ります。一番有名なのは、口や顎を手で隠したり、鼻や眉毛、耳たぶなど顔の一部を触る仕草です。これは表情などから嘘がバレてしまうのを恐れ、顔を隠そうとする心理が働いているからだと考えられています。特に、眉毛は喜怒哀楽を表す際に大きく動きます。そのため嘘をつく人は自然に隠したがる傾向にあることが多いです」

アーサー教授の言葉をノートに取りながら、絆が真剣に考えていたのは講義の内容ではなかった。目を閉じれば昨日のことのように浮かぶのは、あの部屋で起きた最悪の出来事である。

血まみれで床に倒れている大切な人、それを呆然と見つめることしかできなかった自分、容疑者、大切な人の後を追った婚約者ーーー。最悪の出来事は、絆の頭にこびりついたまま離れない。

(あの時の出来事のために、この犯罪心理学を受けているけど、あの日のことは未だに何もわからないまま……)
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