国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「クリス様。今日は紹介したい方がいまして」
「あなたの後ろの方、ですね。恐らく魔法騎士のブレナン・カール殿であると認識しておりますが」
「そうです。同じ、魔法騎士のブレナンさんです」
「ええ、あなたの父親のような存在であると伺っております」
 フローラの紹介した人物がブレナンで、そのブレナンは彼女の父親のような存在であるならば、ここで娘さんを私にくださいと挨拶をしとくべきか、とクリスは思ったのだが、相手の出方がわからないために、それは抑えることにした。
「このようにしてお会いするのは初めてかと思うのだが。私が、ブレナン・カールだ」
「ええ。仕事で何度か顔を合わせたことはありますが。こうやって個人的にお会いするのは初めてですね。私が、フローラとお付き合いをしているクリス・ローダーです」
 ブレナンの表情は驚きに溢れている。というのも、クリスがフローラの名を呼ぶだけで破顔しているし、わざわざ彼女と付き合っていることを強調しているためだ。それだけクリスはフローラに対して執着しているのだが。
「あの、クリス様。それでブレナンさんがクリス様にお話をしたいことがあるそうで、それで今日は」
「ええ、大丈夫ですよ」
 ノルトから聞いていた話と繋がった。ブレナンはフローラの件を、何かしらクリスに言いたいのだ。
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