国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「まあ、あのクリス殿が自粛できるわけないってことだな」
 ははっとブレナンはまた笑った。アダムはまた、苦虫を潰したようななんとも言えない表情をしていた。
「第一号がうまくいったのであれば、そろそろ第二号の準備もしなければならないな」
 国王が口にする。
「そういうことですね」
 宰相も嬉しそうだ。何しろこれは国を挙げて行う政策の一つ。
「ここはアダム、君に期待したいところだな」
 世話焼きおじさんが伏線を張ってきたが、それにアダムは気付くわけもない。何しろ独身歴35年の男だ。そろそろそれに終止符を打とうとする日がくることなど、このときの彼は思いもしないだろう。だからって、それが36年になるとか、そういうわけではない方の意味である。
 重々しい雰囲気で始まったこの会合だが、最後は本来の目的を忘れ、和やかな雰囲気で終わった。ただ、一人を除く、であるが。
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