国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「あなたに無理をさせるつもりは無かったんですよ。ただ、あなたの中が気持ち良くてつい……」
「昨日の件は許します。ですが、私、明日からは仕事に戻りますので。仕事の前の日はそういった行為は禁止です」
「では。今日はあなたを抱けない、と?」
「そういうことです」
 そこでフローラは頭から毛布をかぶった。この会話を無理やり打ち切るかのように。
 クリスは、ふぅとため息をついたが、全て自分が悪いので何も言えない。
 そのうち彼女から、すぅすぅという可愛らしい寝息が聞こえてきたので、クリスは口元を緩めてから仕事へと取り掛かった。
 ノルトから頼まれていた仕事は、あの闇魔法の使い手を探し出すこと。サミュエルを操り、外務大臣の名を語って偽の書簡を送った、闇魔法の使い手だ。
 その後、ノルトが調査をすすめたところによると、アリハンスからの連絡を怠った外務大臣本人にもその手が伸びていたようだ。
 そもそも彼がアリハンスからの大事な連絡を忙しいという理由で失念するわけがない、というのが宰相の主張で、それを聞いたノルトが各大臣たちを探っていた。
 そこでわかったことが、狙われていたのが外務大臣と教育担当大臣だったようだ。本人たちの意思とは関係の無い発言、彼らの名を語る偽の書類等。
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