国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。

　そして自分が働いている場所が危険な職場であることも自覚している。
　それは否定できない。
「でも……」
　だけど本音を言えば、フローラは仕事を辞めたくない。むしろ仕事が好きだ。
　そして、仕事を始めてからまだ二年。二年で結婚して仕事を辞める、となると、後に続く後輩たちへどのような影響が出るかということも心配だった。
「少し、考えさせてください……」
　フローラは、そう答えることしかできなかった。
「いい返事を期待している」
　彼は、深くフローラに口づけをし、再び己を奮い立たせた。

　それから十日後――。
「やっぱり、私、あなたとは結婚できません。仕事を続けたいから……」
　仕事は辞めたくない。仕事を辞めなければならないなら、結婚をあきらめる。
　フローラはそう決めた。
「だから、別れてください」
　彼は寂しそうにその答えを受け取ることしかできなかった。