国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 だが、騎士団の団長を務めているというのであれば、それなりの年齢なのだろうとは思う。
 シャーランは勇気を振り絞って、尋ねてみる。
「あの……。失礼ですが、私を若いとおっしゃるのであれば、おいくつなのでしょうか……?」
 片方だけが年を知っているというのは不公平だ。シャーランが年齢を口にしたのだから、相手も明かすべきだろう。
「三十六になるところだ」
(ありかもしれない……)
 たかが十二歳差。いや、シャーランも今年二十五になるから十一歳差。
 シャーラン的には問題ない年齢差だ。しかも、この顔立ち。
 心の中では盛大にぐいぐいと押している。だけど、言葉にすることができない。
「だから、あり得ない」
「だが、君たちの相性率は95パーセントだ。あのクリスとフローラを思い出して欲しい」
 国王の言葉にアダムが顔を歪ませた。
(もしかして、この方。フローラさんが好きだったのかしら?)
 フローラといえば、シャーランも憧れている女性騎士である。美人で強くて優しい。彼女に憧れている女性は、シャーランだけではない。
 だからこそ、彼女の相手があのクリスであることに、がっかりした者たちも多いと聞く。
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