国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 見様見真似――。そんなもので魔法付与などできるようなものではない。恐らく彼女には魔導士としての素質もあったのだ。それがどこで道を間違えたのか、騎士という道を選んでしまったようだ。
 いや、彼女は道を間違えたわけではないのだろう。騎士の仕事が好きだと言っていた。だから、自分で選んだ道なのかもしれない。
「フローラ。あなたは今から出もきちんと魔法の教育を受けるべきです」
「今から、ですか? その……、遅くはないのでしょうか」
「勉強を始めるのに、早いも遅いもありません。あなたがきちんと学びたいと思っているのであれば、私が責任をもってあなたに魔法を教えます」
「クリス様が、ですか?」
 はい、とクリスはゆっくりと頷く。
「そうすれば、あなたと一緒にいる時間がもっと増えますからね」
 フローラはこの申し出を受けるべきか否か、少し迷った。
「その……、団長と相談してもよろしいでしょうか」
 その答えしか出せなかった。
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