国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「フローラ」
 クリスは優しく彼女の名を口にする。
「はい」
 潤んだ瞳でクリスを見上げているフローラは、ほんのりと頬を染めていた。
 やはり彼女しかいないとクリスは心のどこかで感じていた。あんな数値に踊らせるわけではないけれど、本能では彼女が欲しいと叫んでいた。今まで出会ってきた他の女性とは違う。嫌悪感も不快感も抵抗感も何もない。ただ、彼女が欲しいというその思い。今までなぜ彼女を知らなかったのかという後悔が再び押し寄せてくる。
 クリスはゆっくりと上着を脱ぎ、乱暴に投げ捨てる。
 一通り彼女を味わったクリスは、深く繋がり合う。
「もっと私を感じてください」
「くりすさま……、好きです……」
 その言葉がフローラの口から漏れた。
「フローラ、愛しています……。あなたは、私のものですよ」
 クリスが彼女の中で果てた瞬間、その魔力も放出する。
 精力と魔力は似て非なるもの。魔力が強い者ほど、精にその魔力が現れてしまう。だが、その放った魔力を補充するかのように、彼女の方からもその魔力が流れ込んできた。二人の魔力が螺旋のように絡まり、最後には一つに溶け合う。今まで感じたことのない心地よさに思わず酔いしれてしまった。と、当時に、彼女の奥で何かが弾けたようにも感じた。その何かを確かめる必要があるのだが。
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