月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
過去3
「リ、リナさん!? 身体は大丈夫なんですかっ?!」
心配そうなトールに、リナは安心させるように笑顔を見せた。
「私は大丈夫よ。だけどもう時間がないの。……トール、私のお願いも聞いてくれる?」
「えっ……」
どうやら眠っていると思っていたリナはいつの間にか意識を取り戻し、ヴァルナルとトールの会話を聞いていたらしい。
「あら、ヴァルナルのお願いは聞いて、私のお願いはダメ……なんて言わないわよね?」
「は、はいっ、もちろんです」
トールは嫌な予感がしながらも、リナの願いを聞くと約束する。リナは笑顔のままなのに、ついその威圧に押されてしまったのだ。
「ありがとう。じゃあ──」
常に優しい微笑みを浮かべていたリナの顔が、今まで見たことがないような真剣な表情に変化した。
「──トールはティナを連れてここから逃げて。ティナには<睡眠>と<軽量>の魔法を掛けているの。抱っこしてもしばらくは重くないと思うわ」
「えっ?! で、でも、リナさんは……? リナさんは一緒に行かないんですか?!」
心配そうなトールに、リナは安心させるように笑顔を見せた。
「私は大丈夫よ。だけどもう時間がないの。……トール、私のお願いも聞いてくれる?」
「えっ……」
どうやら眠っていると思っていたリナはいつの間にか意識を取り戻し、ヴァルナルとトールの会話を聞いていたらしい。
「あら、ヴァルナルのお願いは聞いて、私のお願いはダメ……なんて言わないわよね?」
「は、はいっ、もちろんです」
トールは嫌な予感がしながらも、リナの願いを聞くと約束する。リナは笑顔のままなのに、ついその威圧に押されてしまったのだ。
「ありがとう。じゃあ──」
常に優しい微笑みを浮かべていたリナの顔が、今まで見たことがないような真剣な表情に変化した。
「──トールはティナを連れてここから逃げて。ティナには<睡眠>と<軽量>の魔法を掛けているの。抱っこしてもしばらくは重くないと思うわ」
「えっ?! で、でも、リナさんは……? リナさんは一緒に行かないんですか?!」