月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

買い物


「ロリアンの宿」から出たティナは、毛色が黒色に変化したアウルムと一緒に、商店が並ぶ区画へと足を運んだ。

 魔法鞄の中にはまだまだ容量があるので、食品や日用品、着替えなどを購入するつもりだ。

(ベルトルドさんに魔物の素材を買い取って貰ったお金がまだ手付かずだし、色々買っちゃおうかな)

 今まで必要なものは神殿から支給されていたので、ティナが直接買い物をする機会はほとんど無かった。
 だからティナはこの機会に買い物をめいいっぱい楽しもうと思う。

『ティナー。あれおいしそうー』

 アウルムは露店で売られている食べ物に興味深々だ。
 キョロキョロと周りを見渡しては食べたそうな顔をしている。

「ふふ、アウルムは食いしん坊だね。もうお腹すいちゃったの?」

 まだ宿から出て一時間ほどしか経っていないのに、もうお腹が空いているらしい。

『戻ったからお腹すくのー。でもまだたりないのー』

「んん? あ、そう言えば聞きたかったんだけど、戻るってどういう意味? 元々アウルムは白だったの?」

「そうなのー。黒いの浴びたからー。でもティナが泣いたから戻ったのー」

< 334 / 616 >

この作品をシェア

pagetop