月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

精霊の宿


 魔力が戻ったアウルムの背中に乗せて貰ったティナは、半日でフラウエンロープに到着することが出来た。

「うわぁ〜〜っ! アウルムすごいよっ!! 本当にすごいっ!! もうフラウエンロープに着いちゃったよ!!」

 ティナはアウルムを褒めまくった。アウルムのおかげでとても快適な空の旅を体験することが出来たからだ。
 しかもフラウエンロープまで二ヶ月以上かかると思っていたティナは、かなりの長旅になるだろうと覚悟していた。それがまさか半日で到着出来るとは夢にも思わなかったのだ。

『えへへー!』

 ティナに褒められたアウルムは、小さい尻尾をブンブンと振り回し、とても嬉しそうだ。
 ちなみにアウルムはすでに子狼バージョンに戻っている。

「アウルムも魔力を使ったから疲れたでしょ? 早く宿を見つけて、ご飯いっぱい食べようね!」

『うんー! いっぱい食べるー!』

 ティナとアウルムは、フラウエンロープにあるビュシエールという町に来ていた。
 辺境の地ではあるが、豊かな自然の宝庫であるフラウエンロープは観光客が多いらしく、予想以上に賑わっている。
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