月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

王位継承


 クロンクヴィスト王国の王宮にある会議室で、国の重鎮たちが一堂に介していた。

 今行われている大会議は、年に一回開かれるかどうかの会議で、主に国の命運を左右する事態が訪れた際に開かれている。

 そんな重要な大会議が、なぜ今行われているかと言うと──。

「それでは今回の本題である、王位継承の件に移りたいと思います」

 ──この会議で誰を次期国王とするか決定することとなったからだ。

「我が国は未だ王太子が選ばれておりませんでしたが、トールヴァルド殿下が帰国されたことを踏まえ、これを機に正式に王位継承者を決定するべきだ、との意見が多数上がっております」

 王太子を決める前にトールヴァルドが留学してしまい、クロンクヴィストの王太子の座はその間空席となっていたのだ。

 この国の誰もが次期国王はトールヴァルドが相応しい、と思っていたので、彼が戻り次第王太子の任命式を執り行うことになっていた。
 だから今回の大会議も、実際は結果が決まっている形式的なものであった。

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