月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「いや、わたしゃあの娘がどこへ行ったかは知らないよ……! ただ、月下草を探しているんだったら、森の奥深くだろうと思ったのさ」
「……そうですか……」
もしかして、と思ったものの、結局ティナの行き先がわからないトールはがっくりと肩を落とす。
そんな彼を、アデラは興味深そうに眺めている。
「あんたは随分変わったねぇ……。前はそんなに感情を表に出さなかったのに。あのお嬢ちゃんの影響だね?」
昔からトールを知っているアデラは、トールが感情豊かになっていることに驚いた。
「……はい。ティナが絡むとどうしても感情を抑え込むことができないんです」
はにかむように言うトールは、年相応の少年のように見えた。いつもは大人びていたトールのそんな姿に、アデラは心の底で安堵する。
「そうかい。それはいいことだね。……で、あんたをそんな風に変えちまったあの娘は結局何者なんだい? <金眼>の魔物と意思疎通ができるなんて、只者じゃないんだろう?」
「えっと、どうしてそんなに彼女が気になるんですか? 彼女が何かしたんですか?」
「……そうですか……」
もしかして、と思ったものの、結局ティナの行き先がわからないトールはがっくりと肩を落とす。
そんな彼を、アデラは興味深そうに眺めている。
「あんたは随分変わったねぇ……。前はそんなに感情を表に出さなかったのに。あのお嬢ちゃんの影響だね?」
昔からトールを知っているアデラは、トールが感情豊かになっていることに驚いた。
「……はい。ティナが絡むとどうしても感情を抑え込むことができないんです」
はにかむように言うトールは、年相応の少年のように見えた。いつもは大人びていたトールのそんな姿に、アデラは心の底で安堵する。
「そうかい。それはいいことだね。……で、あんたをそんな風に変えちまったあの娘は結局何者なんだい? <金眼>の魔物と意思疎通ができるなんて、只者じゃないんだろう?」
「えっと、どうしてそんなに彼女が気になるんですか? 彼女が何かしたんですか?」