月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
「んん? 何が問題なんじゃ?」
「え?」
「坊ちゃんには精霊が付いとるでな。ちょっと変わっとるが、問題なく行けるじゃろ」
精霊王に会うには精霊の祝福が必要だが、ノアはすでにトールがその条件を満たしていると言う。
「……あ、確かに。以前ルシオラが俺を祝福したって言ってました」
てっきり湖に行くにはアウルムのような聖獣の導きが必要だと思っていたが、精霊の祝福があれば大丈夫と聞いて、トールは安心する。
実際、探せと言われても聖獣なんて存在がそこら辺にいるはずもない。アウルムとの出会いが特殊過ぎたのだ。
ちなみに精霊の祝福もそう簡単にもらえるものではない。そもそも精霊に会うことすら難しいのだが、トールは全く自覚していない。
「そうじゃ。精霊ならこの森の奥から発せられる<聖気>を感じるじゃろ? それを目指して行けば、道は開かれるじゃろうて」
《何かよくわかんないけど、わたし頑張るよ!》
ルシオラから、気合いのようなものが伝わってくる。
精霊王に会えるかどうかは自分にかかっているのだとノアに諭され、責任感が湧いて来たのかもしれない。