月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。
最終話 二人の場所
トールがティナに告白し、ティナがトールの思いを受けとめた後。
すっかり夜も更け、アウルムはルシオラと一緒にテントの中で眠っていた。
ちなみにルシオラはまだ人型のままなので、小さい女の子と子狼が寄り添って眠る姿はとても愛らしくて微笑ましい。
「今日は色んなことがあったから、アウルムも疲れちゃったんだろうね」
「聖獣とは言ってもまだ子供だしね。それなのに俺がいない間ずっとティナを守ってくれて、本当に助かったよ。また明日にでもお礼を言わないとね」
「あ、じゃあ私もお礼を兼ねて、明日はアウルムが好きなものを作ってあげようかな」
トールが言うように、アウルムはずっとティナのそばにいてくれて守ってくれた。
それにアウルムのおかげで大変だったはずの旅が随分楽だったのだと、トールの話を聞いて実感したのだ。
「いいな。俺もティナの手料理が食べたい。ノアさんにもたくさん作っただろ? 俺、自慢されて悔しかったし、羨ましかった」
「えっ! トールもノアさんに会ったの?!」
「うん。ルシオラが人の気配がするって言うから、ティナかと思って近づいてみたら……大魔導士デュノアイエ様だったんで、すごく驚いたよ」
それからティナはトールからノアの話を聞き、またティナもノアと過ごした日々をトールに話した。