辣腕海運王は政略妻を容赦なく抱き愛でる【極上四天王シリーズ】
一、経営危機と政略結婚
上原(うえはら)さん、手が空いたら社長室へ来てほしいと満島(みつしま)さんから連絡があったわ」

 チェックインカウンターで先ほどのお客様の入力を済ませたところへ、休憩に入ったばかりの森本(もりもと)課長がバックヤードから現れて私の横に立つ。

 満島さんというのは社長秘書の男性だ。

「呼ばれるなんて今までになかったわよね。ここはいいから早く行ってきて」

 三十代半ばの森本課長はきびきびとした女性で、フロント業務を統括している。

「ありがとうございます。すみません。少し席をはずします」

 森本課長に断りその場を離れて、美しく飾られたいくつかのクリスマスツリーの横を通り別館の本社へ向かう。三日後はクリスマスイブだ。

 ここは『ホテルクレストピア高輪(たかなわ)』。私、上原和泉(いずみ)はフロント業務のアルバイトをしている。現在、私立女子大学の経営学部四年生で、来年三月に卒業する二十二歳。

 就職はここ高輪に加え千葉、静岡、グアムにホテルを持つ、クレストピアグループ本社のサービス部門に内定している。

 取締役社長を務める父の役に立ちたいと、大学生になってからこのホテルのいろいろな部署でアルバイトをしてきた。

 社長室に呼ばれるなんて、いったいなんの用なんだろう……?

 四年近くアルバイトをしてきて初めてのことだ。

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